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【北信越ラボコラム】〈19〉見えてきた上越妙高駅の役割と可能性

見えてきた上越妙高駅の役割と可能性
代表取締役 平原 匡(ひらはら ただし)

コロナ禍が落ち着いて、ヒトの流れが戻ってきたように思えますが、雰囲気はコロナ前とは大きく変わった感もあります。そんな中で上越妙高駅の最近の状況をまとめてみたいと思います。

初期の頃(新幹線開業当時)は「何にもない」と言われていましたが。その後、ホテルが進出し駅周辺に滞在人口が増えました。2018年に東口に1棟、2020年に2棟。部屋数は500室を超えるという状況ですから、夜間滞在人口は大きく変化しました。もちろん2020年3月からはコロナ禍にみまわれ、新幹線の利用者自体が激減したこともあり、全体的には非常に厳しい時期を過ごしましたが、ホテルの存在は観光的だけでなくビジネス的な需要を生み、この新幹線駅が「通過する場所」から「滞在する場所」に変貌したと、この駅前で事業を日々営んでみて感じていることです。

さて、今このエリアにとって上越妙高駅周辺はどのような場所になっているでしょうか?このコロナ禍の様子等も含めて整理したいと思います。

➀「バケーション」の入り口として
上越市の南部にある上越妙高駅は隣接の妙高市まで近い距離にあり、スキー場やリゾート施設を抱えるエリアへの入り口となっています。ホテルの送迎バスの発着場になっており、このエリアの「入り口」となっていることがこの場所にいると分かります。新幹線が開業した後はまだまだ妙高エリアへは長野を入り口とする流れが多かったのですが、新しい駅が開発されたことにより、上越妙高駅を入り口とする傾向は徐々に増えていると感じます。今後は佐渡の世界遺産登録の件が実現味を帯びてくると、佐渡の入り口としての機能も強まると思われます。

➁ビジネス、いわゆるワークの分野
新潟県、上越市等の施策により上越妙高駅周辺への企業の集積が促進されてきました。首都圏企業のサテライトオフィスの誘致です。今後もハードの投資と並行して、誘致の動きが進んで行くでしょう。また、そのような流れもあり、ビジネスシーンでの利用を求める需要も大きくなりました。リモートワークに使える個室、小規模又は10人程度までの会議需要、以前からも問い合わせ等を頂くことがありましたが、これも年月の積み重ねで、日常になってきました。さらに「新幹線駅前で起業、創業」という視点で地域づくりをしている点が注目さています。先日、NHK福井で放送された【ホクロック!「北陸新幹線延伸まで1年 どうする?北陸のまち」】の内容を見ましたところ、そのような「新幹線の新駅と地元の若い世代のチャレンジ」という点が新しく、この時代にあって評価を頂いているということが分かりました。

➂新たに生まれている「ライフ」というテーマ
職(食)と住の一体という言葉がありますが、お互いのバランスも大切です。住に対して「職(食)」の面だけでなく「生活する」つまり「ライフ」の部分の補強がこれからと言え、融合が大切です。一見するとホテルがあり、飲食店があり、コンビニがあるとモノゴトは足りている?職(食)が足りていると思ってしまいますが、あるワーケションで滞在していた参加者から「ジモトのスーパーへ行きたい」という声を聞きました。ジモトライフの延長線上にあるジモト民が通うパン屋、酒屋、スーパー、例えば海外などに行くと現地のスーパーマーケットに行くのが楽しいという経験をしたことはないでしょうか?地元の野菜、魚、生鮮までとは言わずとも、日常で地元の人が食している商品があると、長期滞在の際の利便性向上になり、その地域を知る材料が増えます。「ロングステイ」を考えるとそのようなことがこれからの必須となるでしょうし、ロングステイが可能な宿泊施設も貴重になってくると思われます。

こうして年月を重ねると、新幹線駅前には完成されたコンテンツではない、成長する、変化するコンテンツが集まってきていること。「街」として考えると当たり前ですが、だんだんとそのような生きた街に必要な要素の「堆積」が生まれていることは新幹線開業8周年、フルサットがもうすぐ丸7年で生まれた変化かもしれません。
駅は地域のエッセンスを集めたブイヤベースのようなものでなくてはならない・・・というのは言い過ぎでしょうか?街のエッセンスを分かりやすく、効果的に説明できる場所であること。また、地元の人にとっても外気に触れ、他地域を思わせる場所であれば良い。地方創生のキーワードとして出現した「ワーケーション」だとすれば、上越妙高駅は「ワーク・ライフ・バケーション」の環境整備に重点を置くべきでしょう。そうすると新しい特色あるエリアになりそうです。ロングステイの際のベースキャンプが出来る環境が今後は価値を持つ感じがしています。ゲートウェイからジャンクションへ。ヒト、モノ、コトが更に交わる場所に発展して行くと期待しています。

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